御曹司は魔法使い⁉︎
「レジデンスと殆ど変わらないだろ?」

「あ、はい。」

そうか。ご実家に来られる事もあるんだから、もちろんレジデンスについてもよくご存知なんだ。

私達が乗ったエレベーターは高層階用のエレベーターだったらしい。一気に上昇して、ツンと耳が詰まったような気がした瞬間、エレベーターが止まっていた。

「最上階なんですね。」

ホスピタル内での寿貴先生の地位がよくわかる。

「30階以上はワンフロアに1戸だ。」

「…それはすごい広さですね…。」

お一人で住むには広過ぎるのでは…。

「…まあ、殆どの部屋、使ってないんだ。正直1LDKで充分なんだけどな。
ホスピタル側から与えられたのがここだったから仕方がない。」

それだけ、トゥモローシードセンター長という地位は高いのだ。
おそらく桜川院長の次に高い。
でも桜川院長がまさかこのタワマンに住むはずがない。これだけゴージャスであっても、ここは社宅だから。

「何部屋あるんですか?」

「5LLDKだ。メゾネットなんだ。」

……。
本当に桁違いだ。
一人暮らしでメゾネット。しかもリビングが2つ?
それが使われていないなんて、本当に勿体無い。

「どうぞ。
あ、スリッパ…。
ごめん。美咲のしかないな。
客用があったはずなんだけど…」

シューズクロークの引き出しを片っ端から開ける寿貴先生。
この部屋に誰か来ることはないのだろうか…。

< 82 / 170 >

この作品をシェア

pagetop