御曹司は魔法使い⁉︎
「ここの、寒天のお味が好きなんです。食感も。クセがなくて、弾けるようで、スッとなくなる感じ。最高ですよ!」

「…それはそれは、よくご存知で…。
お世辞じゃないってわかるよ。
嬉しいな。ありがとう。」

「わ! 今日の練り切りはこちらですか⁉︎
あーもう、芸術作品ですよねっ!
切るのが勿体無い!って思うんですけど、スッと黒モジが通っていく断面を見るのも楽しみなんです。」

「わかるよ。断面の美しさ。
職人達も、実はそこを見て欲しいんだ。
花ちゃん、なかなかの通だね。」

「いえいえ!
同じ事を考えている人なんて、山ほどいますよ。
あ、No.8、お持ちしてるんですが、コーヒカップをお借りしても?」

「はい、ここにお願い。」

そう言って、見事な伊万里焼のカップアンドソーサを差し出された。
うわー!
ここにNo.8を入れていいの⁉︎
すっごく格が上がりそう…

「花ちゃん? なんか、目がキラキラしてるけど、
コレ、変わってる⁇」

「あ、いえ!
この伊万里焼のカップアンドソーサ、素敵過ぎて。ここにNo.8を入れたら、一気に格上げされそうで、緊張しちゃったんです〜。」

「…プッ!
花ちゃん、面白いねぇ。
そんなに喜んでくれて嬉しいよ。」

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