響は謙太郎を唆す
頭に響の手を感じた。
響も頭を下げて、謙太郎の髪に頰をつけた。
「そんな事!なんだ!謙太郎に好かれてないかもしれないと思った事に比べたら、どうにでもなれ、ってかんじ!」
響がフフフと不敵に笑って、両手で、頭を撫でたので、謙太郎は涙をグッと我慢して、撫でられていた。
初めて希望が持てると思えた。
どうにでもなれ、か。
俺に好かれていないかもしれないと思った事に比べたら、どんな問題も、どうにでもなれ。
「こんな俺だけど、一緒に居ていい?好きでいいか?」
響は、謙太郎の髪を手で持って、頭に顔を寄せたままささやいた。
響の息で、謙太郎の髪が揺れた。
「そう思ってなかったら、困るよ。私も謙太郎が好きだから」