響は謙太郎を唆す

別に紗代と顔を合わせたくもなかった。
幼馴染だけれど、もし一生会う機会がなくても、どうでも良いと思うぐらいの間柄だった。

紗代子がいるから、話もしにくくなった。

今日の停学の件も。
俺の進路も。
響の事も。

何でこんな事になっているんだろう⋯⋯ と、結構めげた。
他人がいる事で、話し合いが出来なくなってしまった。

翌日学校に行ったら響に会えた。
ホッとした。
朝は1時間ぐらい早く家を出るようになった。

響には、親の客が泊まり込んでいて帰りたくない話をした。

塾の誰かが、もしかしたら学校の生徒かもしれない、密告したり母親に通じていると思うと落ち着かない。

響に、また何か言われたらと思うと、学校を出て2人で出かけたり歩いたりするのもためらってしまった。

放課後は別々に、謙太郎は塾に行く。
なるべく家には帰らないようにした。
< 149 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop