響は謙太郎を唆す
謙太郎の母は、何か反対意見を言われ慣れていないようで、よくわからないみたいな顔をしている。
お母さんに頭を下げて挨拶して、後ろも見ずに部屋から出た。
担任が、あわてて部屋から出てきたので、
「すみません」
と謝った。
「個人的には、すごく非常識な人達っておもってしまってますから」
と先生が言ってくれたので、顔を見合わせた。
「私、教室もどります」
お昼休みはとっくに過ぎていて、午後の授業が始まっている時間だった。
担任は、談話室のドアをノックして少し開け、一言、
「授業が始まってますから、申し訳ありませんが」と断り、響と急いで教室にもどった。
ふと、響は、紗代子は学校、どうしているんだろうと思った。