響は謙太郎を唆す

すると後ろからレンの声がした。
初めて聞くみたいに優しい話方だった。

「俺がナイトなら、家族がそんな嘘をついたら、真実を知りたいと思う。大丈夫だ。キョウ。ナイトはそんなヤワじゃないだろ」

そうだね。
謙太郎のお母さんだとしても嘘はダメだと思う。
誰であっても。
ましてや陥れるための嘘なんて。
あーでも、分かっていても心が苦しい。

やっていないのは紗代子もお母さんも私も分かってるのに。

(証拠⋯⋯ そうだ、)

「担任の先生、先生もその場に一緒にいました。先生に電話して⋯⋯ 」

警官は待ってくれるみたいだったので、ポケットの携帯を出した。
手がうまく掴めず落としそうになった。

画面を起こしたら、謙太郎からの通知が見えたが、返信するより先に、すぐ学校に電話をした。

電話口で呼び出してもらおうとしたら「お名前とクラス教えてくださーい」と言われ、チラッと警官を見て違う生徒の名前を使った。
じろっと見られたが、学校に警察が行ってたら響の名前は名乗れなかった。

少し待ち受け音がして、担任が「もしもし、」と電話口に出た。
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