響は謙太郎を唆す
響の家についたら今度は電気もついている。
ちょっとほっとしてインターフォンを鳴らしたら、以外にもレンがすぐ出てきて、
「キョウスケと一緒か?」
と聞いたので、
「えっ?」
と逆に聞いたらため息をついた。
謙太郎の車に気がついて、無言で門扉横のシャッターを開けた。
レンは運転免許を持っていない。
家に車はないが、ツアーの時に大型バンをマネージャーが用意し機材を積み込んだりするので、シャッターの中はだだっ広いガレージになっていた。
ガレージの奥には楽器が置いてあるようだった。
謙太郎は車を停めさせてもらった。
降りてすぐ、
「響は?」
と聞いたが、レンが、
「俺がさっき帰ってきたら、いないんだ」
と言った。
レンは地味な格好をしていて、おとなしかった。