響は謙太郎を唆す

レンは弁護士と一緒に都築さんの家に行き、帰ってきたらしい。
入れ違いぐらいの時間だったようだ。

「だがな、ナイトの家は、行くわけにいかないと判断した」

やはり母親も、紗代子と一緒になって嫌がらせしていたらしい。
火傷の時の偽証も。
今頃、謙太郎の家に弁護士が訪ねて行って、話をしているらしい。

レンの顔に、娘とその彼氏の親に対しての複雑な気持ちが透けて見えて、レンの父親としての顔と愛情に、謙太郎こそ申し訳ない気持ちがした。

非常識でわがままで大人になれない母親だ。

レンは俯いて謙太郎をリビングに通した。

リビングはすごく片付いていて、あまり物がなかった。
何人もで食事ができるような広い作りになっていて、響がいつも1人で食事していると話していたのを思い出し、つきっと心が痛んだ。
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