響は謙太郎を唆す
昨日、響は髪をおろしていた。
響の髪は柔らかく毛先にクセが出る。
染めていないが色も明るめで、おろすと派手になるので普段の学校ではずっと髪をまとめていた。
昨日はだれもいなかった。結び方も悪かったのか髪が引っ張られて痛くて、たまたまはずしてただけだった。
昨日を思い出す。
(桜の花びらが舞った)
(謙太郎は髪に優しく触れた⋯⋯ )
謙太郎は元々目立っているのに、声も大きい。
あの内藤 謙太郎が話しかけているのだから、気になるに決まってると思って謙太郎の後ろの教室内を見たら、完全に皆こちらを見ていた。
響は、
(どうしようかな、)
と思ったが、謙太郎は周囲を全く気にしない。
響がじっと黙っていたのに、彼はさらに天気がいいだとか、席が決まってるみたいだ、とかベラベラ喋りながら、響の真後ろの席についた。
昨日は始業式が体育館であり、その後各教室に戻り自由な席で終礼をしたが、今日からは名簿順に先に着く事になっていた。
戸波の『と』で、内藤の『な』、名簿順で響の後ろの席が謙太郎だった。
響の髪は柔らかく毛先にクセが出る。
染めていないが色も明るめで、おろすと派手になるので普段の学校ではずっと髪をまとめていた。
昨日はだれもいなかった。結び方も悪かったのか髪が引っ張られて痛くて、たまたまはずしてただけだった。
昨日を思い出す。
(桜の花びらが舞った)
(謙太郎は髪に優しく触れた⋯⋯ )
謙太郎は元々目立っているのに、声も大きい。
あの内藤 謙太郎が話しかけているのだから、気になるに決まってると思って謙太郎の後ろの教室内を見たら、完全に皆こちらを見ていた。
響は、
(どうしようかな、)
と思ったが、謙太郎は周囲を全く気にしない。
響がじっと黙っていたのに、彼はさらに天気がいいだとか、席が決まってるみたいだ、とかベラベラ喋りながら、響の真後ろの席についた。
昨日は始業式が体育館であり、その後各教室に戻り自由な席で終礼をしたが、今日からは名簿順に先に着く事になっていた。
戸波の『と』で、内藤の『な』、名簿順で響の後ろの席が謙太郎だった。