響は謙太郎を唆す
マリは画面だけ見たら携帯を置き、おにぎりを食べ始めた。
「レンもナイトも食べなよ」
と声をかけた。
謙太郎は食べる気がしなくて会釈だけしたが、レンもおにぎりを見もせず、ソワソワ立ち上がってマリに言った。
「お前、よく食べる気になるな」
「食べても食べなくても、同じだよ」
とマリがあっさり答えた。
レンが、
「心配で吐きそうだ」
と言ったら、マリは、
「大丈夫。あたしがキョウスケだとしても大丈夫。あの年になってて自分でわかってるって」
「そうかー???」
と、レンは大きな声を出して、
「マリはそんなキョウスケみたいにショックな事がなかったんじゃぁないのか???」
と騒いだが、マリはしれっと、
「結婚前は、レンもいろいろあったじゃん」
と笑った。