響は謙太郎を唆す
謙太郎もマリの話と落ち着いた様子に、ちょっとだけ大丈夫かなと思えたが、祈るような気持ちだった。
早く、早く、むかえにいくから、
頼むから連絡してくれ。と。
危ない目にあっていないか、もしかして事故に巻き込まれてないか、
変なヤツに連れて行かれてないのか、
冷や汗が出て、口から内臓が出そうな気持ちがする。
レンが吐きそうだと言ったが、まさに謙太郎もそんな気分だった。
2人とも青い顔で、じっと待つ。
探しにいく方がいいのか、迷う。
途中でゲンとカナからも電話があり、いちいち飛び上がったが、まだ見つからなかった。
深夜12時ごろに、固定電話が鳴った。
レンが飛ぶように出た。
「キョウスケか⁈」
謙太郎も立ち上がって電話のそばに行った。
響の声がしていた。
「レン⋯⋯ お金も、終電ない」