響は謙太郎を唆す
(どうせ退学になったら、受験どころか高校の卒業の検定とかを、まずとらないといけないんじゃないの?⋯⋯ それって、どこでどうやって受けるんだろう⋯⋯ )と、必死で違うことを考えようとする。

何か物音がして足音みたいにも聞こえる。
こんなところで、人でも何かでもが来たら、ほんとにまずい。
怖すぎる。
冷や汗が出てバクバク心臓の音がする。

1時間半ほど隠れるように座っていたら、車のエンジン音がして、ヘッドライトのまっすぐな強い光が車の向きに合わせてまっすぐな細い棒をゆっくり回したみたいに動いた。

車が海沿いの車道から、右折して小道に入ってきた。

駅の改札の前は、真ん中に大きな木が立っている他は広い舗装されていないロータリーみたいになっていて、小道から、右回りに車は大きく回って入ってきて、半回転ほどしたところで停車した。

バタン、

と開閉音がして、

「キョウスケ???」

とレンの大きな声がした。
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