響は謙太郎を唆す
(来てくれた⋯⋯ )

響はすぐレンの方に行きたかったが、足が固まったみたいに、なかなか動かず、木の幹に手をついてささえにして、足をゴソゴソ動かした。

「おい!いるのか⁈キョウスケ!」

と、レンがもう一度、慌てたように声をあげたので、

「レン⋯⋯ 」

と涙声で言った。

レンが声の方をパッと見てゆっくり歩いてきた。
響も、転ばないように、ゆっくり、草むらから出た。
レンの後ろにもう一人、背の高い人がいる。

「謙太郎⋯⋯ 」

響も前に出て、2人も歩いてきて、ちょうど改札のシャッターの前で3人で顔を合わせた。

「はぁ、帰るぞキョウスケ」

と響の腕をレンがとり車の方に向いた。

車が見えた。

紗代子を乗せてた謙太郎の車⋯⋯ 。
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