響は謙太郎を唆す
響は、いきなりレンの手を振り払った。
「やだ!」
「キョウ?」
と謙太郎が聞いた。
「ぜったい!乗らない!」
響は、叫んだ。
「紗代子を乗せてた車なんて、ぜったい乗らない!!!」
と、響は、車と反対に走り出した。
足がまだぎこちなかったけれど、必死に動かす。
小道をぬけて、昼間なら車が通る二車線の海沿いの車道も横断して、防波堤の間から砂浜に出て、めちゃくちゃに走った。
冬の風は冷たくて、人気のない夜の砂浜は、すごく広くて真っ暗で、波の音がして。
でも車道の等間隔の街灯と月の明かりだろうか、砂浜の湾の形や、波打ち際や、防波堤が、シルエットになりながら灰色の濃淡で見える。
方向も確かめずにただ、ひたすら走った。
「やだ!」
「キョウ?」
と謙太郎が聞いた。
「ぜったい!乗らない!」
響は、叫んだ。
「紗代子を乗せてた車なんて、ぜったい乗らない!!!」
と、響は、車と反対に走り出した。
足がまだぎこちなかったけれど、必死に動かす。
小道をぬけて、昼間なら車が通る二車線の海沿いの車道も横断して、防波堤の間から砂浜に出て、めちゃくちゃに走った。
冬の風は冷たくて、人気のない夜の砂浜は、すごく広くて真っ暗で、波の音がして。
でも車道の等間隔の街灯と月の明かりだろうか、砂浜の湾の形や、波打ち際や、防波堤が、シルエットになりながら灰色の濃淡で見える。
方向も確かめずにただ、ひたすら走った。