響は謙太郎を唆す
エピローグ

✳︎

4月
桜が満開。

一年前のあの日、響は謙太郎と出会った。

同じように桜が咲いているが、去年とは違う。
去年の少し低い温度の中、静かに静謐咲いていた桜。
どこか冷たい花びらだった。

響は桜の木を見上げた。

今年はいかにも春らしい、フワフワとした優しい風に、柔らかな花びらがヒラヒラと舞う。
ほぐれるような春の日だった。

✳︎


あの日は朝まで砂浜にいた。
レンが駅に近い砂浜で、マリの膝枕で作曲していた。

車はもうなかったから、4人で電車に乗って帰った。

砂浜で作ったレンの新曲が発売。

響と謙太郎がモデルの歌、
『Love I Love 』

結構、売れたみたいだった。
デリマリの代表曲の1つになった。

響の退学は取り消し。
無事卒業した。
外部受験して2人とも同じ大学の法学部に入った。
内藤家と都築家、2家族からの高額な慰謝料を全額、謙太郎に渡した。
謙太郎は、必ず返すと言っているが、響は欲しいとも思わなかった。
そんなお金。響の物じゃない。

でも、おかげで、とりあえず地味に暮らせば、何とか謙太郎は卒業出来るだろう。

そして、謙太郎は響の家で居候している。

もともと響は1人でも家事をしていたので、そんなに変わらず、謙太郎にしてあげられる事がある。

響は幸せを感じていた。

  謙太郎が好き。
  
  彼を愛してる。

  これからも彼と一緒に生きていくんだ。









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