響は謙太郎を唆す

中学卒業後。
わざわざ遠方の私立大学付属の高校に入学した。

響の両親の職業は特殊なので地元では有名だ。

それを知られないように学校を入念に選んだ。
このまま他の生徒にも誰にもバレたくないと思っている。

この2年間、響は大人しく目立たないように過ごしてきた。
友達もいないほどに。

入学手続きも自分でやった。
入学式も親には教えなかった。

でも結局、響は学期ごとに学校から呼び出され、厳重注意を受けていた。

附属大学に進学したいと思っているので、内部推薦をもらうためにもトラブルは絶対避けたかった。

(そういえば⋯⋯ )
と、桜を見て思い出した。

去年の春は、今年と違って天気が荒れたんだった。

前日まで急に高くなった温度のため、一斉に咲いた桜は、朝からの荒れた天気に一気に台無しになり、1年生の入学式に来てくれた保護者たちも残念がっていたっけ。

今年は桜も天気も、最高の状態で新学期をむかえられた。

でも、さっそく担任に呼び出されてしまったが。

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