響は謙太郎を唆す

その日から謙太郎は、帰る時も、昼休みも、移動教室も、響を必ず誘い、響は断らなかった。

謙太郎は大きな声で周囲を気にせず、

「おい、響、行くぞ」

と響を呼ぶ。

謙太郎はごく自然な、当たり障りのない態度だった。

謙太郎と仲良くしたい様子の女子は、響が誘われるとチラッと見る。話しかけてくる子もいた。
謙太郎は拒まなかったが、それでも響を誘うし響に話しかける。
無視しているというわけではないが、用事がないと言っているようなかんじで、何となく居心地が悪くなり、女子達はあまり入ってこなくなった。

響は内心、謙太郎といつそんな間柄になったんだろう、と考えていたが、新学期からこの状態だから、いつのまにか響は謙太郎と一緒にいる事になっていた。

謙太郎はお昼を一緒に食べる2人の男子を友達だと紹介した。
2人とも毎日、購買にパンを買いに行き教室に戻ってくる。
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