響は謙太郎を唆す
3 謙太郎の迷い
5月の連休に入った。
新学期から毎日学校に行っていたので、行かないと謙太郎に会えないんだな、と思いながら響は家にいた。
家族は皆んな留守。
ほぼ毎日のこと。
響は何の予定もなくて、10日ほどある休みは、真っ白な砂漠のように響の前に広がっている。
連休3日目。
夜に響の携帯に通知があった。
携帯は、家族か、謙太郎しか交換してない。
学校では一応携帯電話は禁止されているので、他の生徒がどんな風に使っているのか響は知らない。
連休までは誰からも連絡がきてなかった。
ずっと人とかかわらない態度でいたので、他に連絡するぐらいの友達もいないし、謙太郎から声をかけられなかったらやはり今年も1人でいるだけだったのかな、と思いながら画面を開いた。