響は謙太郎を唆す
(俺は、この子が欲しい)
と謙太郎は強く思った。
(誰にも渡したくない、俺が一緒にいたい)
謙太郎は響と会った時からそう思ってこの1ヶ月過ごし、よりはっきりその思いは強くなっていく。
そして心の声は大きくなる。
響と一緒にいたい自分。
響にまっすぐ向き合える自分でいたい。
謙太郎は響の前に、同じように真っ直ぐ立てる自分でありたかった。それだけだった。
親に分かってもらうための決心。
謙太郎は正直怖かった。
どんな騒ぎになるか⋯⋯ 。
医学部に行かないって言ったら、母親は文字通り倒れるかもしれない。勘当されるかもしれない。
それでも、信じれるのか。自分自身の将来を。
その決意を信じて、自分で違う道を進んでいけるのか。