響は謙太郎を唆す
4 彼と近づく

5月の連休が終わり、6月の初めに大学の推薦がかかったテストが終わった。

最終日。

最後のテストが終わったら、クラスはホッとした雰囲気になった。
このテストでだいたい進路が決まり、次の秋のテストはよほど成績が下がらない限り、ほぼ大学進学が内定する。

響もテストに手応えがあったし、ホッとして力が抜けて、ゆっくり座っていた。

ポン

真後ろの席の謙太郎が響の肩を触った。

響が後ろを振り返ったら、謙太郎にじっと見られて、ゆっくり笑いかけられた。
吸い込まれるみたいにじっと謙太郎を見ていたら、大きな手で頭をポンポンと撫でられた。

顔が赤くなる。
ドキドキする。

隣の席の人に響と謙太郎はチラッと見られていた。
恥ずかしくて慌てて前を向いた。
けど、
謙太郎は後ろから響の両肩を持って、その手が首を通って、そのまま両手で頰を触って耳も触られた。
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