響は謙太郎を唆す
謙太郎はなぜか響の手を握っていて、響は案の定ドキドキしている。
通るたびにチラッと見られているような気がする。
振りほどけばいい⋯⋯ 。
でも、謙太郎の手は大きくて、あたたかくて、がっしりしていて、その手に委ねて響は考えるのをやめた。
カラオケ店について部屋に行ったらお姉さま達はもう座って飲み物を飲んでいた。
響は謙太郎の手を払って、女子の隣に座ったのに、謙太郎が無理やり真横にきて肩に手を回された。
ランさんが、
「何、カノジョ?」
と聞いてきたので、
「いいえ、違います」
と、謙太郎の腕をはらって、なるべく大人しくすまして答えたら2人がニヤニヤして、
「何だ、あなた、大人しくなんかないわね」
とバレた。謙太郎が横から、
「響は、俺のだ」
と言ったので、ドキッとした。