響は謙太郎を唆す
謙太郎と吉田くん、川上くんは、3人で相談して激しめのメタルバンドを入れ始めた。
重厚なエレキギターがギュイーンとうなって、雨粒音のような振りかぶるようなドラムが始まったら、お姉さま達は
「また、始まったよー、うるさー」
とため息をついた。
でも響はその音で体が反応してしまっていた。
そう、本当はこの手の曲が、響は生まれた時から染み込んでいる曲だった。
響の体に流れている原点だった。
誰にも言えなかった事だった。
謙太郎の気持ちがよく分からなくて、苦しい。
学校でずっと大人しくしてたから、もう丸2年以上自分を隠してきたから正直しんどい。
先生にそれでも怒られて悔しい。
何だかな、発散したい、本当の自分でいたい。
3人が楽しそうに歌うから、黙ってられなくなった。