響は謙太郎を唆す
帰り。
響以外は、自宅が学校に近いみたいだった。
一駅、二駅で次々と降りていった。
ランとレイカも「ラインおくるねー」と手を振って帰った。
響は久しぶりに友達が出来て、久しぶりに本来の自分で、気持ちがほぐれて、すごくいい気分だった。
隣に謙太郎が座っていた。
響が(あれ?どこまで同じ駅だっけ?)とか思っていたら、いつまでも謙太郎が降りなくて、そのうち2人きりになった。
電車の座席で、謙太郎の肩や腕、太もも、体の当たっている箇所が熱く感じる。
でもなんか、すごく安心して、こんな気分初めてだと響は思った。
謙太郎は、響の足に大きな手を広げて乗せてポンポンとした。
嫌な気はしないような触り方だけどな、と思ってたら、手が止まって、親指でちょっと内ももを撫でたので途端にドキッとする。
謙太郎、私のこと、何だと思ってるんだろう。