響は謙太郎を唆す

響が2枚見せたからか、じっと黙ってたからか、急に謙太郎が、

「まさか他に一緒に行く彼氏とか、いないよな?」

と結構キツく聞いてきた。

「謙太郎じゃないからね、私は」

と、可愛げのない返事をした。
何でこんな話になったんだろう、と思った。
かなりしばらくして謙太郎がまた聞いた。

「中学の時は?」

中学の時?

「そんなん、いらないよ。まじめに暮らしてると、忙しいのよ!」

思わず大きな声で答えた。
これじゃ謙太郎が真面目じゃないみたいな言い方だった。
そのまま無言で駅についた。

謙太郎は響の家までついてきた。
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