響は謙太郎を唆す

謙太郎の言葉は強引だったが、唇は優しかった。
そっと触れて、柔らかい唇の形が、はっきりわかった。
唇のデコボコまで感じる。
しばらく優しかったが、そのうち、深くキスされた。
響は息も出来なかった。
キスされながら、途切れ途切れに、

「初めてなのに⋯⋯ 」

と言ったら

「俺のもんだ、俺の印をつけてる」

と言われた。

「わたし、誰とも付き合えなくなるよ⋯⋯ 」

謙太郎は、さらにキスを深めた。低く脅すように、

「他の誰とも付き合うなよ。
初めての事、全部俺とやれよ」

と言って、またキスした。

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