響は謙太郎を唆す

謙太郎は、カバンを投げすてて、制服のシャツのボタンを片手で3つ開けて、響の手を強く引いた。
響はカバーのかかったままのベットに押し倒された。

謙太郎は響を真上から見下ろして、

「言えよ、何があったのか」

と、低い声で言った。

すごく怒ってた。

大きな目が暗く睨む。
掴む手も固くて、押さえつけられた体の熱が熱くて、動けなくて。
怖いのに。
なのに、すごく安心して。

聞きたくて聞けなくて、
言いたくて言えなくて、

響は震えながら目を閉じた。

謙太郎はジッと響を見てたが、辛そうに息を吐いた。
響を離して、舌打ちしてベットに座った。

響は押し倒されたまま、力が抜けて仰向いたままだった。
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