響は謙太郎を唆す
最初からそうすれば良かったんだと思った。
響は2年前の自分に言ってやりたいぐらいだった。
自分を隠して、親を隠して、そして得たものは、あんな担任の言葉だなんてバカみたいだった。
唆す女?
そんなものに、唆されてる謙太郎の方を注意すべきで、あんな事、真顔で言う人達に負けたくない。
響は、謙太郎のひざに倒れ込んで、両腕で彼のお腹に抱きついた。
せめて、謙太郎をちゃんと受け入れられる自分でありたいと思う。
謙太郎が困ってたら、頼られるぐらいの人になりたい。
謙太郎についての先生が言ってた事、真実か何だか、私は知らない。
自分の事じゃないから。
それは謙太郎の問題だから。
あっちの世界の謙太郎は、悩んでいるんだか何だか分からないし、どんな道を選ぶのか、私にはわからない。
ほんとは『私を選んで!』って叫びたい。