星

　砂の上を歩いていた。

　空には雲が一つもなく、見渡す限り青色が続いていて、砂はその青色を際立たせるかのように白く、まるでそこは現実ではないかのように、どこか地球とは違う世界に来てしまったかのような感覚に陥らせる。

　一歩一歩ゆっくりと踏み締めると、体重で砂は沈み、サンダルの隙間からそれが入ってくる。だけどそんなことは気にすることもなく、聞こえてくる波の音を聞きながら、歩くことを続けた。

　一旦立ち止まって目を瞑り耳を澄ますと、聞こえてくるのは、先程から聴こえてくる波の音、その他には風の音、何かの鳥の鳴き声。

　自然の為す音だけが聞こえてきて、ふわふわと浮遊している気持ちになる。音に対して、気持ちいいと、初めて思った。十分に音の世界を堪能すると、再び目を開けてまたゆっくりと歩き出した。