星
連れてこられた先には、見事にピンク色の花が全面に咲き誇っていた。
さっきの考えは、見事にその景色により消え去る。
本当に、ここにいると現実なのかそれとも非現実の世界なのかが分からなくなってしまいそうになる程、それは美しかった。
いや、ここはもう、彼女の言う星なのではないか。
どこかでその世界とつながっていて、僕たちはいつの間にかそこを通って、星に来てしまったのではないだろうか。
彼女に掴まれている手を忘れてしまう程、その景色に釘付けになる。
「もしかしたら、ここを知っている人がいるかもしれないけれど、今は私とあなたの二人」
「そう、ですね」
「この世に、私と薫さんしかいないみたいでしょう?」
「うん……」
彼女はその名前の分からないピンクの花の上に身体を預けて腕を伸ばして雲の泳ぐ空を見る。
「薫さんも、寝てみて」
言われるままに、彼女の隣に寝て同じように空を見た。このまま、時が止まってしまうんじゃないだろうか。
いや、ここには、時という概念がないように感じる。
「音さんは、…………人が嫌いなんですか?」
「嫌い、というよりも怖いわ」
あまりにも小さな声で、彼女は言った。
さっきの考えは、見事にその景色により消え去る。
本当に、ここにいると現実なのかそれとも非現実の世界なのかが分からなくなってしまいそうになる程、それは美しかった。
いや、ここはもう、彼女の言う星なのではないか。
どこかでその世界とつながっていて、僕たちはいつの間にかそこを通って、星に来てしまったのではないだろうか。
彼女に掴まれている手を忘れてしまう程、その景色に釘付けになる。
「もしかしたら、ここを知っている人がいるかもしれないけれど、今は私とあなたの二人」
「そう、ですね」
「この世に、私と薫さんしかいないみたいでしょう?」
「うん……」
彼女はその名前の分からないピンクの花の上に身体を預けて腕を伸ばして雲の泳ぐ空を見る。
「薫さんも、寝てみて」
言われるままに、彼女の隣に寝て同じように空を見た。このまま、時が止まってしまうんじゃないだろうか。
いや、ここには、時という概念がないように感じる。
「音さんは、…………人が嫌いなんですか?」
「嫌い、というよりも怖いわ」
あまりにも小さな声で、彼女は言った。