星
なんとか障害、なんて言われたようなそうでないような。
とにかく、病院で目の前にいる医師から「一度休みなさい」と言われたことだけは、はっきりと覚えている。
「そう、なんとなく、疲れていそうな感じに見えた」
と、ふふふっとあどけなく笑う彼女に、初めて人間らしさを感じた。
その表情にほっと安心して、同じく彼女につられ口を緩める。
すると、僕達の間に心地よい風が吹いて、僕と彼女の間を通り抜ける。
海の方から吹いてきたそれは、潮の香りを乗せて来た。それは、より現実味を帯びさせる。
「私は、この世界では音っていう名前なの。あなたは?」
「いい名前ですね。僕は薫って言います」
「どちらの名前も、人工的じゃなくて良い名前ね。音も薫も。落ち着く名前……」
一旦彼女は口を閉じ、そして再び言葉を紡ぐ。
「薫さんは、竹取物語って知ってる?」
さりげなく名前を呼ぶ彼女に、僕の心臓は緊張しっぱなしでそれは落ち着くことを知らない。
なんとか心を穏やかにさせようと、肺いっぱいに空気を送り込んでそれをゆっくりと吐こうとするが、それすら満足に出来ないほどに身体が硬くなっている。
「日本で最古の物語ですよね」
「そう」
とにかく、病院で目の前にいる医師から「一度休みなさい」と言われたことだけは、はっきりと覚えている。
「そう、なんとなく、疲れていそうな感じに見えた」
と、ふふふっとあどけなく笑う彼女に、初めて人間らしさを感じた。
その表情にほっと安心して、同じく彼女につられ口を緩める。
すると、僕達の間に心地よい風が吹いて、僕と彼女の間を通り抜ける。
海の方から吹いてきたそれは、潮の香りを乗せて来た。それは、より現実味を帯びさせる。
「私は、この世界では音っていう名前なの。あなたは?」
「いい名前ですね。僕は薫って言います」
「どちらの名前も、人工的じゃなくて良い名前ね。音も薫も。落ち着く名前……」
一旦彼女は口を閉じ、そして再び言葉を紡ぐ。
「薫さんは、竹取物語って知ってる?」
さりげなく名前を呼ぶ彼女に、僕の心臓は緊張しっぱなしでそれは落ち着くことを知らない。
なんとか心を穏やかにさせようと、肺いっぱいに空気を送り込んでそれをゆっくりと吐こうとするが、それすら満足に出来ないほどに身体が硬くなっている。
「日本で最古の物語ですよね」
「そう」