星
彼女は空に視線を向けて、口を閉じて、鼻で空気を思いっきり吸っている。
すると、細い彼女の体が少しばかり膨らみ、それを吐くとまた細さが戻ってくる。
僕は、何も言わずにその一部始終を見ていた。
「あなたも、やってみて」
彼女は、僕の方を見て同じことをやるように促した。それに従って、上を向いて鼻からたくさんの空気を吸い込んで、口から少しずつそれを吐いていく。
先ほどは出来なかった深呼吸なのに、今はいとも簡単にすることができる。
不思議だ、と、僕は彼女の顔を見た。
「それでね、竹取物語って」
と、彼女は先ほどの話の続きを始めた。
「最後に月に戻ってしまうでしょう?」
彼女は、僕が相槌を打つのを待つかのように一旦話すのを止める。
「うん、そうですね」
「私もね、時が来たら星に帰らなければならないの」
「竹取物語では、月から迎えが来ましたよね」
「そうね」
「音さんは…………どうやって帰られるんですか?」
「私はね」
彼女は、立ち上がった。僕も彼女に続いて腰を上げると、彼女は波が足に触れるぎりぎりのラインまで前に進み、そこで立ち止まる。
僕も、同じところまで行き、彼女の横に並んだ。
すると、細い彼女の体が少しばかり膨らみ、それを吐くとまた細さが戻ってくる。
僕は、何も言わずにその一部始終を見ていた。
「あなたも、やってみて」
彼女は、僕の方を見て同じことをやるように促した。それに従って、上を向いて鼻からたくさんの空気を吸い込んで、口から少しずつそれを吐いていく。
先ほどは出来なかった深呼吸なのに、今はいとも簡単にすることができる。
不思議だ、と、僕は彼女の顔を見た。
「それでね、竹取物語って」
と、彼女は先ほどの話の続きを始めた。
「最後に月に戻ってしまうでしょう?」
彼女は、僕が相槌を打つのを待つかのように一旦話すのを止める。
「うん、そうですね」
「私もね、時が来たら星に帰らなければならないの」
「竹取物語では、月から迎えが来ましたよね」
「そうね」
「音さんは…………どうやって帰られるんですか?」
「私はね」
彼女は、立ち上がった。僕も彼女に続いて腰を上げると、彼女は波が足に触れるぎりぎりのラインまで前に進み、そこで立ち止まる。
僕も、同じところまで行き、彼女の横に並んだ。