すると、その姿は再び家の中へと入って行った。

 あんなにあったお菓子は、半分ほどになっている。いつの間に、こんなに食べてしまったのだろうか。

「ねえ、薫さん。明日の朝食の前に、あの浜辺に行かない?」

 姿勢を正して、そう言ってきた。

「うん、いいよ」
「じゃあ、七時に」
「うん」

 彼女の目は、何かを覚悟したかのような目だった。

 だから僕は、それ以上、これについては何も言わなかった。きっと、彼女の中で何かが定まったんだろう。

 祖父が帰ってくる前に、彼女は「ありがとうございます。美味しかったです」と言葉を残して、帰って行った。

 本音を言うと、もう少しだけ、彼女と同じ時間を過ごしていたかった。




 次の日。

 朝。六時に、自然に目が覚めた。

 今日は曇りだった。白い雲が、空を覆っている。僕は、ベッドから出て顔を洗いに行った。

 そして、歯を磨く。そんなことをしていると、あっという間に時間は過ぎてしまう。
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