誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします


電話は、救急病院からだった。
胸痛を訴えて救急車で運ばれたハナちゃんが、入院することになったという。
こういうことがあるかもしれないから、一緒に暮らそうと言ったのに!


――RRR


ハナちゃんの家に行って保険証を手にしたところで、再び電話がなった。
てっきり病院からだと思っていた私は、相手をろくに確認することなく、

「すみません、今から病院に行きますので!」


そう言って電話を切り、タクシーを呼び止めた。


* * *


「ハナちゃん!」

「悪いねぇ百花、迷惑をかけて」

「何言ってんのよ、大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫、入院なんて大げさなのよ」


ハナちゃんは笑ってそう言うけど、後に先生から聞かされた説明は深刻なものだった。
肺に悪性と思われる腫瘍ができていて、胸水がたまっていたらしい。


「詳しい検査をしないと分かりませんが、厳しい状況です」

「そんな……! 手術とかは」

「かなり大きな腫瘍ですし、高齢なので手術は難しいかと。治療に関しては今後の検査で決めたいと思います」


ハンマーで頭を殴られたような衝撃だった。
胸水がたまるくらい症状が進んでいたなら、それ相当の辛さがあっただろうに。
どうして、気が付いてあげられなかったの?


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