誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします
第二章
「ハナちゃん、調子どう?」
「今日も来てくれたの? 百花。元気にしてるから毎日来なくても平気よ」
「私が来たくて来てるの。今日はね、結婚式の写真を持って来たよ」
「あら、見せて見せて」
写真が入ったアルバムを見せると、ハナちゃんは零れんばかりの笑顔でページを捲った。
当日の体調が悪くて式に参加することはできなかったけど、こうして写真だけでも見せられて良かった。
「素敵ね~ドレスはオーダーメイド?」
「ううん、時間がなかったから既製品」
「それでもいいわね、百花に良く似合ってる」
「そうかな、ありがとう」
なんだか、照れくさいな。
ハナちゃんがあまりにも「素敵」「いいわ」と連呼するから、同室のマダムたちが集まって来た。
「私たちにも見せてくれる?」
「どうぞどうぞ、見てやってちょうだい」
入院当初、律さんが個室に移るよう言ってくれたけど、ハナちゃんは「1人じゃ気が滅入るから」と4人部屋のまま。
おしゃべり好きな同年代の女性たちと楽しく過ごせているらしい。
「わぁ、うっとりしちゃうわね」
「でしょう!」
「新郎も素敵。良い男ね~」
「でしょ、でしょう!」