誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします
第三章


「うわ、なにこれ、キラッキラなんだけどー」


桐ケ谷家の食事会から1週間後の日曜日。
カフェで待ち合わせをしていた果歩は、私の左手にある指輪を見つけて目を丸くさせた。


「旦那が買ってくれたの?」

「旦那……うん、そうなの」


なんだか変な感じ。
律さんが自分の旦那だという実感は、まだない。


「いいな、いいな。これって、女優とかも付けてる有名ブランドだよね」

「多分、そうかな」


そういえば、店員さんが北〇景〇ちゃんと同じものだと説明していたような?
私はもっとシンプルで控えめなやつでいいって言ったのに、色々と試し付けをした結果、律さんの『これが百花に1番よく似合っている』の声で決定しちゃったんだよね。
そりゃぁ、私だって女だもん、こんなにもキラキラした指輪を贈られて嬉しい気持ちもあるけど、分不相応というか何というか。


「なんだかんだ上手くいってるんだね」

「どうだろ」

「そのうち、本当に夫婦になったりして」

「まさか」

「”そのまさか”が、ってよく言うじゃない。会社でも、まさか百花と常務が結婚するなんてって話題で持ちきりよ」


果歩は、KIRIGAYAグループの別部署に異動して派遣社員を続けることとなった。
なんと、そこは私が在籍していた部署!

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