眠る子犬
眠る子犬
人目のつかない路地裏に「産地直送 津軽りんご」とプリントされた薄汚いダンボール箱が電柱の隣に捨てられていた。
その箱にはリンゴは入っておらず子犬が捨てられていた。
数は五匹、どれも手のひらに乗せられる大きさだ。
まだ目は開いておらず「くうん」と鼻を鳴らし子犬たちは互いの体を寄せ合う。
私はあいにく犬には詳しくないのだが、おそらくは雑種だろう。
真っ黒の犬からまだら模様もいる。
どこからどうみても捨て犬だ。
運が良ければ心が優しい飼い主が拾ってくれるのだろう。
しかし年間に500万匹の犬が殺されるという事実を私は知っている。
おそらくこの子犬たちもその500万分の5となるに違いない。
「この子たちにはなんの罪もないのに・・・」
さきほどコンビニで買ったミルクを紙の皿に注ぐ。
ミルクの匂いに気がつきプルプルと体を震わせながら子犬はミルクに近づく。
ペロペロと小さな舌を使い舐める。
シッポを左右に振りながら必死で舐めていた。
「おいしいですか?」
私は、笑みを浮かべてその様子をずっと見ていた。
ミルクを飲み干した子犬たちは、すぐに眠りについた。


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