孤独のその先に
けど、朔夜が…。


大きな致命傷を受けてしまった。


病院の手術室の前で、ただ座ってそのときを待つばかり。


だれ1人として言葉を発する者はいない。


「…美羽、そんなに強く握ったら爪がくい込んじゃうよ」


沙耶に言われて少し指に血が滲んでいるのが分かった。


…こんなの痛くも痒くもない。


今はただ朔夜を失うのがこわい。
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