結婚記念日 ~15年目の小さな試練 番外編(3)~
「着けてみてもいい?」
「もちろん!」
気に入ってもらえるか心配だったけど、カナが嬉しそうに箱から腕時計を出す姿を見てホッとする。
パパが言っていた「陽菜からのプレゼントだったら、百均の腕時計でも喜ぶよ」という言葉は、聞かなかったことにする。
もちろん百均ではないけど、そんなに高いものでもない。ダイバーズウォッチの中ではシンプルなデザインがカナに似合いそうで選んだ時計。
「どう?」
初めての腕時計を迷うことなく器用にスッと腕に着けると、カナは満面の笑顔でわたしに見せてくれた。
「うん。似合ってる」
「ありがとう。大事にするね」
そう言ったカナの笑顔が近づいてきて、額にキスが落とされる。
しばらく、左腕を右に左に軽く動かしながら新しい腕時計を眺めていたカナは、ふと何かを思い出したように動きを止めた。
「どうしたの?」
不思議に思って声をかけると、
「……赤いリボン」
とカナがぽそりと呟いた。
「え?」
「あ、いや、手首に巻くもの繋がりで、去年のハルからのプレゼントを思い出しちゃって」
……ん? 赤いリボン?
去年のプレゼントは、キーホルダーだったはず。
別荘から帰ると一緒に住むことになるわたしの家(今はわたしたちの家)の鍵を付けて渡した。その後、カナは免許を取ったから、車の鍵も付けてくれて……。
「あれ、ホント、嬉しかったなぁ~」
カナがまたふわっととろけそうな笑顔を見せた。
リボン? ……赤いリボン?
「……あ」
脳裏に浮かんだのは、一年前のこの日、この場所でふわりと宙を舞ったワインレッドのシフォン生地のリボン。
「もちろん!」
気に入ってもらえるか心配だったけど、カナが嬉しそうに箱から腕時計を出す姿を見てホッとする。
パパが言っていた「陽菜からのプレゼントだったら、百均の腕時計でも喜ぶよ」という言葉は、聞かなかったことにする。
もちろん百均ではないけど、そんなに高いものでもない。ダイバーズウォッチの中ではシンプルなデザインがカナに似合いそうで選んだ時計。
「どう?」
初めての腕時計を迷うことなく器用にスッと腕に着けると、カナは満面の笑顔でわたしに見せてくれた。
「うん。似合ってる」
「ありがとう。大事にするね」
そう言ったカナの笑顔が近づいてきて、額にキスが落とされる。
しばらく、左腕を右に左に軽く動かしながら新しい腕時計を眺めていたカナは、ふと何かを思い出したように動きを止めた。
「どうしたの?」
不思議に思って声をかけると、
「……赤いリボン」
とカナがぽそりと呟いた。
「え?」
「あ、いや、手首に巻くもの繋がりで、去年のハルからのプレゼントを思い出しちゃって」
……ん? 赤いリボン?
去年のプレゼントは、キーホルダーだったはず。
別荘から帰ると一緒に住むことになるわたしの家(今はわたしたちの家)の鍵を付けて渡した。その後、カナは免許を取ったから、車の鍵も付けてくれて……。
「あれ、ホント、嬉しかったなぁ~」
カナがまたふわっととろけそうな笑顔を見せた。
リボン? ……赤いリボン?
「……あ」
脳裏に浮かんだのは、一年前のこの日、この場所でふわりと宙を舞ったワインレッドのシフォン生地のリボン。