結婚記念日 ~15年目の小さな試練 番外編(3)~
「わ、可愛いっ」
田尻さんは真っ赤になって俯いてしまったわたしを面白そうに覗き込む。
「ね、キスの続きは、結婚してから?」
ワクワクとかウキウキとか、そんな言葉が似合いそうな楽し気な声。
だけど、わたしは、こういう話にはまったく免疫がなくて……。
羞恥心から思わず涙ぐむと、田尻さんは慌てて、
「ごめんごめん! 泣かないで、牧村さん!」
とわたしの肩に手を置いた。
ああ、ダメだ。
前に田尻さんのお家にお邪魔した時も、わたしが突然泣き出して、それから具合が悪くなって、とてもたくさん迷惑をかけた。
「あの……大丈夫」
涙目で顔を上げると、田尻さんが目に見えてホッとした。
「しっかし、高3で彼氏がいて、あそこまで溺愛されてて、どうしてこうも純真なままでいられるかなー」
「ご、ごめんなさい」
「あーもう、だから、そんな簡単に謝らないの。別に牧村さんが悪いんじゃないじゃんね?」
「でも」
「そんなの人それぞれだし、それだけ叶太くんが牧村さんを大切にしてたって事でしょ?」
「そう……かな?」
「そうそう。あ、でも、叶太くん、この後、大変だね」
田尻さんはまた面白そうに笑う。
「……なにが?」
「ん? だって、こんな可愛くて無垢なハルちゃんに、どうやって手を出すの」
「……え?」
「ああ、でも、さすがに結婚して奥さんになったら、遠慮なしに行くのかな?」
……え、遠慮なしに行くって? どこに?
ううん。何となくは分かってる。でも、何となくしか分かっていないお話で、期待と不安だったら、不安の方が勝っているお話で……。
田尻さんは真っ赤になって俯いてしまったわたしを面白そうに覗き込む。
「ね、キスの続きは、結婚してから?」
ワクワクとかウキウキとか、そんな言葉が似合いそうな楽し気な声。
だけど、わたしは、こういう話にはまったく免疫がなくて……。
羞恥心から思わず涙ぐむと、田尻さんは慌てて、
「ごめんごめん! 泣かないで、牧村さん!」
とわたしの肩に手を置いた。
ああ、ダメだ。
前に田尻さんのお家にお邪魔した時も、わたしが突然泣き出して、それから具合が悪くなって、とてもたくさん迷惑をかけた。
「あの……大丈夫」
涙目で顔を上げると、田尻さんが目に見えてホッとした。
「しっかし、高3で彼氏がいて、あそこまで溺愛されてて、どうしてこうも純真なままでいられるかなー」
「ご、ごめんなさい」
「あーもう、だから、そんな簡単に謝らないの。別に牧村さんが悪いんじゃないじゃんね?」
「でも」
「そんなの人それぞれだし、それだけ叶太くんが牧村さんを大切にしてたって事でしょ?」
「そう……かな?」
「そうそう。あ、でも、叶太くん、この後、大変だね」
田尻さんはまた面白そうに笑う。
「……なにが?」
「ん? だって、こんな可愛くて無垢なハルちゃんに、どうやって手を出すの」
「……え?」
「ああ、でも、さすがに結婚して奥さんになったら、遠慮なしに行くのかな?」
……え、遠慮なしに行くって? どこに?
ううん。何となくは分かってる。でも、何となくしか分かっていないお話で、期待と不安だったら、不安の方が勝っているお話で……。