結婚記念日 ~15年目の小さな試練 番外編(3)~
「牧村さん、怖い?」
わたしにとっては、こういう話を友だちとする事自体が初めてで、恥ずかしくてたまらない。だけど、真っ直ぐな田尻さんの目を見ていると、ごまかしたりはできなかった。
「………うん」
「だよねー。初めては、大変だって言うし」
や、やっぱり、そうなんだよね?
引っ込んだ涙が、今度は羞恥心ではなく恐怖で浮かびそうになる。
「でも大丈夫! みんな通る道なんだから」
田尻さんが笑顔で「ファイトッ!」と拳を握ってみせてくれた。
「う……うん」
その満面の笑みにつられて、わたしも引きつった笑顔を浮かべる。
……田尻さん、すごい。
怖いけど、ものすごく怖いんだけど、少しだけ心の準備ができた気がする。
そう。考えないようにするより、ちゃんと考えておいた方が良い気がするもの。
恥ずかしいし心拍数が上がってしまうくらいインパクトがあるのだけど、ぐいぐい踏み込んでくる会話はどこか心地よく感じられた。
「あ、そうだ。牧村さんさ、自分から飛び込んでいくと良いんじゃない?」
不意に、良い事を思い付いたとでも言いたげに、田尻さんがぐいと身を乗り出した。
「……自分から?」
「そう。叶太くん、きっと喜ぶよー」
「……え……っと、あの……」
田尻さんの言わんとすることが分からずに、小首を傾げると、
「だって、叶太くんだってきっと、どうしたものか迷ってると思うんだよね」
……なのかな?
「だから、……そう、お誕生日プレゼントにって、『ハルちゃん』をプレゼントすると良いよ!」
田尻さんはパチンと両手を合わせると、ニッコリと満面の笑顔でそう言った。
わたしにとっては、こういう話を友だちとする事自体が初めてで、恥ずかしくてたまらない。だけど、真っ直ぐな田尻さんの目を見ていると、ごまかしたりはできなかった。
「………うん」
「だよねー。初めては、大変だって言うし」
や、やっぱり、そうなんだよね?
引っ込んだ涙が、今度は羞恥心ではなく恐怖で浮かびそうになる。
「でも大丈夫! みんな通る道なんだから」
田尻さんが笑顔で「ファイトッ!」と拳を握ってみせてくれた。
「う……うん」
その満面の笑みにつられて、わたしも引きつった笑顔を浮かべる。
……田尻さん、すごい。
怖いけど、ものすごく怖いんだけど、少しだけ心の準備ができた気がする。
そう。考えないようにするより、ちゃんと考えておいた方が良い気がするもの。
恥ずかしいし心拍数が上がってしまうくらいインパクトがあるのだけど、ぐいぐい踏み込んでくる会話はどこか心地よく感じられた。
「あ、そうだ。牧村さんさ、自分から飛び込んでいくと良いんじゃない?」
不意に、良い事を思い付いたとでも言いたげに、田尻さんがぐいと身を乗り出した。
「……自分から?」
「そう。叶太くん、きっと喜ぶよー」
「……え……っと、あの……」
田尻さんの言わんとすることが分からずに、小首を傾げると、
「だって、叶太くんだってきっと、どうしたものか迷ってると思うんだよね」
……なのかな?
「だから、……そう、お誕生日プレゼントにって、『ハルちゃん』をプレゼントすると良いよ!」
田尻さんはパチンと両手を合わせると、ニッコリと満面の笑顔でそう言った。