結婚記念日 ~15年目の小さな試練 番外編(3)~
昼
「お出かけしたかったのに」
ぽつりと呟くと、カナは笑いながらわたしを見た。
「昼ご飯、外に食べに行こうか? で、食べたら、遊びに行く?」
「いいの?」
「もちろん」
カナは笑う。
「ただし、お昼食べても、出かけられるくらい元気だったらね」
「ん」
顔を洗ってから、今日のために用意した(と言うかママがプレゼントしてくれた)レースをあしらったシフォンのサマードレスに着替える。
カナはわたしの隣をついて歩き、顔を洗えばタオルを手渡してくれ、着替をクローゼットから取り出し、脱いだパジャマをたたみもする。更に、今日の服にぴったりのカーディガンまで着せかけられた。
本当にマメだなと思う。
今日はカナのお誕生日なんだから、わたしの方が色々やってあげたいと思うのに、手を出す隙がない。……わたしがノロマなだけかも知れないけど。
「お嬢さま、おはようございます」
食堂に行くと一緒に別荘に来てくれた沙夜さんが、出迎えてくれた。
「おはよう。……お寝坊でごめんね」
「いえいえ、少しは疲れは取れましたか?」
「うん。すごくスッキリした」
「それはよかったです。……ちょっとお待ち下さいね」
そう言うと、沙代さんはキッチンに入っていった。
外で食べるんじゃなかったの?
思わずカナを見上げると、カナはにこりと笑い、わたしの肩にポンと手を置いた。
「お待たせしました」
沙代さんは両手に大きなバスケットを抱えて戻ってきた。
そう。まるで、赤毛のアンの世界のような、籐で編んだ可愛らしいバスケット。
「ありがとう」
カナは笑顔でそれを受け取ると、左手に持ち、
「じゃあ、行こうか」
と右手でわたしの背をそっと押した。
「と言っても、行き先は庭なんだけどね」
驚くわたしの頬に、カナはサッとキスを落とした。
☆ ☆ ☆
ぽつりと呟くと、カナは笑いながらわたしを見た。
「昼ご飯、外に食べに行こうか? で、食べたら、遊びに行く?」
「いいの?」
「もちろん」
カナは笑う。
「ただし、お昼食べても、出かけられるくらい元気だったらね」
「ん」
顔を洗ってから、今日のために用意した(と言うかママがプレゼントしてくれた)レースをあしらったシフォンのサマードレスに着替える。
カナはわたしの隣をついて歩き、顔を洗えばタオルを手渡してくれ、着替をクローゼットから取り出し、脱いだパジャマをたたみもする。更に、今日の服にぴったりのカーディガンまで着せかけられた。
本当にマメだなと思う。
今日はカナのお誕生日なんだから、わたしの方が色々やってあげたいと思うのに、手を出す隙がない。……わたしがノロマなだけかも知れないけど。
「お嬢さま、おはようございます」
食堂に行くと一緒に別荘に来てくれた沙夜さんが、出迎えてくれた。
「おはよう。……お寝坊でごめんね」
「いえいえ、少しは疲れは取れましたか?」
「うん。すごくスッキリした」
「それはよかったです。……ちょっとお待ち下さいね」
そう言うと、沙代さんはキッチンに入っていった。
外で食べるんじゃなかったの?
思わずカナを見上げると、カナはにこりと笑い、わたしの肩にポンと手を置いた。
「お待たせしました」
沙代さんは両手に大きなバスケットを抱えて戻ってきた。
そう。まるで、赤毛のアンの世界のような、籐で編んだ可愛らしいバスケット。
「ありがとう」
カナは笑顔でそれを受け取ると、左手に持ち、
「じゃあ、行こうか」
と右手でわたしの背をそっと押した。
「と言っても、行き先は庭なんだけどね」
驚くわたしの頬に、カナはサッとキスを落とした。
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