結婚記念日 ~15年目の小さな試練 番外編(3)~
すっかり力の抜けてしまったわたしは、カナに手を引かれて庭の奥に置かれたテーブルセットまで連れて行かれた。
「準備するから、ハルは座ってて」
テーブルにバスケットを置くと、カナはイスを引いてわたしを座らせて、バスケットを開け中身を並べていく。
ワイングラス、ワインボトル、お皿、それから、サンドイッチ、サラダ、スープポット、そして、果物がいっぱい乗った小ぶりのホールケーキ。
日差しを避けて木陰に置かれたテーブルの上で、ワイングラスに木漏れ日が当たってキラキラと光る。
まるで物語のワンシーンのようだったのに、ワインボトルから注がれたのは、なんと麦茶。思わず笑うと、カナは
「ワインのが良かった?」
と言った。その悪戯っ子のような目つきに、不意に去年の失態を思い出す。
知らずに、葡萄ジュースだと思ってワインを飲んでしまい、いつもの自分なら絶対に口にしないような事を言ってしまった……気がする。
本当のところ、あまりよく覚えていない。
だけど、後から、自分が何を言っていたかを教えてもらって、穴があったら入りたいと思った、あのどうにも身の置き所のない気持ちは忘れられない。
恥ずかしさに真っ赤になって俯くと、
「ごめんごめん」
とカナは慌てて言う。なのに、次の瞬間、
「でも、あの時のハル、ものすごく可愛かった!」
なんて力説するものだから、もう、どんな顔をしたら良いのか分からなくなる。
「準備するから、ハルは座ってて」
テーブルにバスケットを置くと、カナはイスを引いてわたしを座らせて、バスケットを開け中身を並べていく。
ワイングラス、ワインボトル、お皿、それから、サンドイッチ、サラダ、スープポット、そして、果物がいっぱい乗った小ぶりのホールケーキ。
日差しを避けて木陰に置かれたテーブルの上で、ワイングラスに木漏れ日が当たってキラキラと光る。
まるで物語のワンシーンのようだったのに、ワインボトルから注がれたのは、なんと麦茶。思わず笑うと、カナは
「ワインのが良かった?」
と言った。その悪戯っ子のような目つきに、不意に去年の失態を思い出す。
知らずに、葡萄ジュースだと思ってワインを飲んでしまい、いつもの自分なら絶対に口にしないような事を言ってしまった……気がする。
本当のところ、あまりよく覚えていない。
だけど、後から、自分が何を言っていたかを教えてもらって、穴があったら入りたいと思った、あのどうにも身の置き所のない気持ちは忘れられない。
恥ずかしさに真っ赤になって俯くと、
「ごめんごめん」
とカナは慌てて言う。なのに、次の瞬間、
「でも、あの時のハル、ものすごく可愛かった!」
なんて力説するものだから、もう、どんな顔をしたら良いのか分からなくなる。