王子系ドクターと溺愛新婚生活〜家政婦ですが結婚するなんて聞いてない!〜
「葵様、身分証を作らせていただきますね」
そう言った橋本さんは、警備の人とテキパキと手続きを進めている。
それにしてもーー。
「大きい......」
車が止まったとはいっても、まだ高級都市の中には入っていない。
入るための門の前にいた。
見上げるほど高いその門は、外部からの侵入を許さないと言わんばかりの物だ。
だけど、その見た目は超高級。きっと、キィーッとすぐに音が鳴るような、安い素材では出来ていない。
1度は、誰もが入ってみたいと思うような場所だ。
ここで逃げて、その機会を逃すのは勿体ない気もする。
ーー面接するだけだから。
どうせ、私なんか受かるはずがない。きっと、ダメなら、橋本さんがすぐに家に返してくれるだろう。
そう自分に言い聞かせて、私はチェックを受けたあと、門をくぐり抜けた。
「わぁっ!」
入った途端、一気に高級感がたっぷりの街並みに変わり、思わず歓喜の声が出た。