王子系ドクターと溺愛新婚生活〜家政婦ですが結婚するなんて聞いてない!〜
恥ずかしさで隠れたい私に、爽介さんはまた甘い声を出す。
今日はなんだかおかしい。
「なんか、美味しい匂いがする」
そう言った爽介さんは、あろう事か私の首元に顔を近づけて言ってきた。
かかる息がくすぐったい。背中がゾクゾクする。
「あ、あ、あ、朝ごはんできてますっ」
私は逃げるように爽介さんから離れて、変などもり方をしながら寝室を出た。
キッチンに逃げ込み、ながしの前にしゃがみ込む。
「はぁぁぁ、何あれ......」
ドキドキした心臓が鳴り止まない。
早くしないと爽介さんがリビングに来てしまうのにーー。
おちつけ、おちつけと必死に自分に言い聞かせた。
そんな時、ドアを開ける音が耳に入る。
えっ?もう?来るのが早い。心の準備がーー。
「あれ?葵?」
居るはずの私の姿が見えないせいで、入ってきた爽介さんは探すような声を出した。
何事も無かったかのように、冷静に......落ち着いて。
ふぅーっと一息ついてから、私は立ち上がる。