王子系ドクターと溺愛新婚生活〜家政婦ですが結婚するなんて聞いてない!〜
『えっ?あ、葵ちゃん?』
爽介さんの妻と言うだけで、私だと分かったらしい。
挨拶した時の柔らかい雰囲気の声に戻った。
「あ、はい。そうです。突然すみません」
『大丈夫だよ?なんかあった?爽介に変わる?』
「待ってくださいっ」
爽介さんに変わると言われて、咄嗟に叫ぶように止めてしまう。
「あ、すいません......」
『ん?どうしたの?』
突然の大声にびっくりしたようだけれど、爽介さんには変わらずに居てくれたみたいだ。
「あの......、爽介さんに内緒で聞きたいことがあって」
『爽介に内緒で?......分かったいいよ。今から病院のちょっと先にある、色んなオフィスが入ってるビルに来れる?そこの15階にバーがあるんだけど、そこでなら話せるよ』
そのビルはたぶん、来る時にも見えた見上げるほど高いビルのことだろう。
たぶん、あそこなら行けるはず。
「分かりました。今から行きます。村本さんのお時間は大丈夫なんですか?」