王子系ドクターと溺愛新婚生活〜家政婦ですが結婚するなんて聞いてない!〜
ニヤリと笑った爽介さんは、イタズラをした後のような顔をしていた。
うん。聞くのをやめよう。
聞いたら後悔するに違いない。
きっと、常識の違いが分かるだけで終わるだろう。
「いえ、やっぱりなんでもないです」
「そう?残念〜」
まったく残念では無さそうだけれど、楽しそうに言った。
このままだと、からかわれそうだ。
私は逃げるようにクローゼットから、パジャマを探し出しお風呂に駆け込んだのだ。
「ーーそれで?毛布ならあるけど、何に使うの?」
さっきの出来事を思い出していた私は、現実に引き戻される。
「寝るために」
逆に、毛布にそれ以外の使い道なんてあるだろうか。
「どこで?」
「ソファーで?」
私がそう答えると、爽介さんの表情が険しくなった。
向き合っている今は、身長の高い爽介さんに見下ろされている感じになっている。
なぜ不機嫌になるのかは分からないけれど、ちょっと居心地が悪い。