王子系ドクターと溺愛新婚生活〜家政婦ですが結婚するなんて聞いてない!〜
私は軽率に確認もせず、ただの配達だろうと外に出た事を後悔した。
「初めまして。桜木葵様でお間違えないでしょうか?」
なぜ名前を知っているの!?私は一気に目が覚めて、相手を警戒する。
「......どちら様ですか?」
「大変失礼いたしました。私、湊 秀一(みなと しゅういち)様の執事ですが、今日はお坊ちゃまの使いで参りました。橋本と申します」
「はい?」
湊秀一様は一体どちら様?お坊ちゃまって誰?
この、橋本さんという人が誰なのか、全く分からない。
「お坊ちゃまの所にお連れ致します」
そう言われて、突然がっちりと抱えあげられた。
お姫様抱っこでーー。
「えっ?きゃぁ!下ろしてくださいっ」
まさか、誘拐?
でもわざわざ家に出向く誘拐なんてある?
「暴れないでください。落ちてしまいますよお嬢様」
その言葉に、私は暴れていた身体をピタッと止める。
「お、お嬢様......?」
「はい。なんですか?」
やっぱり、聞き間違いでは無いみたい。