王子系ドクターと溺愛新婚生活〜家政婦ですが結婚するなんて聞いてない!〜
4.溺愛はほどほどに
目の前のキッチンには、つい2日前頼んだ調理器具がずらりと並んでいた。
それも、高級なものが一式。いつ使うんだと聞きたくなるようなものまで勢揃いだ。
きっと、今人が来ても、ここに何も無かったなんて思う人は誰もいないだろう。
それに、冷蔵庫にもぎっしりと新鮮な食材が入っている。
「葵、全部揃えさせてみたんだけど、これで足りる?」
朝起きて、なにやら宅配が来たと思ったら10分もしないうちに整ってしまったキッチン。
足りるどころか多すぎるくらいだ。
寝ぼけていた目も、おかげですっかり冴えた。
「あとこれ、今月分のお金。好きに使って?」
そう言って、爽介さんは分厚い茶封筒を私に差し出した。
これは、経費という事?物はほとんど揃っているし、食材もこれだけあるから、お金なんてほとんど使わないと思うのだけれど......。