王子なドクターに恋をしたら
そうしてるうちに景色は見慣れた風景へと変わってた。

直ぐ近くにあの展望台が見える高台のとある住宅街。
この町では高級住宅街と言える場所。と、言っても小さい町だからたかが知れてるけど。
その一角の比較的新しい白い家の前に車が止まった。
着いたよ、と言うので車から出てみる。
地面は煉瓦が敷いてあり、白い家は煉瓦と漆喰で出来た南プロヴァンス風の可愛らしい外観。
庭もあるようでアイアンと煉瓦で出来たオシャレな塀が奥まで続いていた。

「だれのおうち?あ、もしかして院長先生の?」

和泉くんの知り合いは院長先生しか思い浮かばない。
院長先生は和泉くんの叔父に当たると言うしあたしを院長先生に紹介したいのだろうかと一瞬身構えた。
だけど、和泉くんは違うよ、とにっと笑ってちゃりんと鍵を出し徐に玄関に向かって行った。
え?どういうこと?と頭に?マークを付けたまま付いていくと鍵を開けた和泉くんがあたしを中へと促した。

高い天井にオシャレなライトが3つぶら下がり、広くて木と白を基調とした玄関は開放感があってとても素敵。
後から入った和泉くんがお邪魔しますも言わず、靴を脱いでスタスタと行ってしまうからあたしも慌ててついて行った。
突き当りにあるドアを開け入って行く和泉くんに続いて中を見るとリビングのようだけど何もなくてガランとしていた。

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