王子なドクターに恋をしたら
どうやら空家のよう。
あたしは一目散に陽の光が差す大きな窓へと向かった。

「わあすごい!海が一望!」

庭の先から見える海に感動して思わず窓にへばりついた。
クスクス笑ってる和泉くんが窓を開けてくれたので4畳ほどあるデッキに出て行くと芝生の庭の先にある海を眺めた。
ここは展望台よりもう少し上のところにあって一段下に前の家があるから屋根がちょっと見えるくらいで視界を邪魔するものが無くて海が一望できた。
素晴らしい眺めに感動してると後ろからふわっと抱きしめられた。

「ねえここ誰のお家?住んでないみたいだけど」

「僕の家。中古だけど眺めもいいし家も可愛いからちゆが気に入ると思って」

「え!買ったの!?」

「そう。どう?気に入った?」

驚いて後ろを振り向くと楽しそうに笑う和泉くんを凝視した。

「す、素敵だとは思うけど、家なんて買っちゃって大丈夫?そんなにしょっちゅうこっちに来れないでしょ?別荘のつもり?」

家を買うということは、こちらに何度も来るつもりなんだろうけど……。
それはあたしにとっては嬉しい限りなんだけども…。
いかんせん和泉くんは忙しいお医者様でそんなに休みが取れるとは思えない。


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